ハイズオンガーデンは、長期滞在の駐在員をはじめ、ベトナムで働く皆さまの暮らしを支えるサービスアパートメントとして、快適な居住環境を提供してきました。
近年は出張を目的とした短期滞在の利用が増え、客室で仕事がしやすいこと、スーツケースから荷物を出し入れしやすいこと、落ち着いて休めることなど、求められる価値も変化しています。
今回は、現在のお客さまの過ごし方を起点に進めた、客室のアップデートについてご紹介します。

関屋智弘(写真)
株式会社鉃鋼ビルディング 海外事業部 海外事業課 課長
時代とともに変わった、客室に求められる価値

ハイズオンガーデンは、開業当初から日本式の住空間を強みとして、長期滞在の駐在員を中心に、快適な生活環境を提供しています。
一方で、もともとサービスアパートメントとして、あえてシンプルに設えておりました。
ハイズオンガーデンでは、数か月から年単位で滞在する駐在員のお客さまに加え、コロナ禍以降は、3日から2週間程度の出張を目的としたお客さまの利用が増えています。
長期滞在と短期滞在では、客室の使い方も異なります。こうした変化を踏まえ、今回、1フロアを対象に、現在のお客さまの過ごし方に合った滞在価値へと客室を更新する改装に取り組みました。
13年の運営で見えてきた、改善すべきポイント
オープンから約13年が経過し、ベトナムでのライフスタイルが変化し、また、ワークスタイルも多様化してきました。
施設を長く運営してきたことから分かったこと、お客さまから寄せられた声、そして短期滞在の増加によって新たに表面化した課題。これらを一つひとつ拾い上げたことが、今回の改装の出発点になりました。
コンセプトは、“快適な居住環境”のアップデート

今回の改装で掲げたコンセプトは、ハイズオンガーデンが大切にしてきた“快適な居住環境”のアップデートです。近年は、近隣に新しいホテルが増え、宿泊予約サイト上でその他の宿泊施設と比較される機会も増えています。
加えて、お客さまが客室で使う機器だけでなく、仕事の進め方や、スーツケースから必要なものを直接出し入れする短期滞在ならではの過ごし方も変化しています。
そこで、ハイズオンガーデンらしい落ち着きや住み心地を守りながら、快適性・機能性・維持管理のしやすさを高めることを重視しました。
短期滞在にもなじみやすくしながら、日本式の住環境を備えたサービスアパートメントとしての強みは残す。その考え方が、今回の改装工事の全体を貫いています。
仕事のしやすさを高める、ワークデスクの新設

今回の改装を象徴する変更の一つが、ワークデスクの導入とコンセントの増設です。
ハイズオンガーデンのお客さまは、ビジネスを目的とする方が中心です。客室に戻ってからメールを確認したり、資料を作成したりするなど、「客室でも少し仕事をしたい」という場面が想定されます。
従来のダイニングテーブルやソファテーブルでは、食事やくつろぎと仕事の切り替えがしにくいという課題がありました。そこで、客室内に新たなデスクワーク用の場所を設けました。
ワークデスクは、パソコンや資料を無理なく広げられるよう、奥行50cmを確保しています。以前、試行的に改装した一室でワークデスクが好評だったことも、今回の導入を後押ししました。
あわせて、コンセントを増設し、USBポートも追加しました。ベッド周辺でもスマートフォンなどを充電でき、複数の機器を使用するお客さまにも対応しています。
休む場所と仕事をする場所をほどよく分け、限られた滞在時間の中でも、客室での過ごし方にメリハリが生まれることを目指しました。
短期滞在者の行動に合わせた、使いやすい客室へ

シンプルで落ち着いた雰囲気のリビングルーム
短期滞在のお客さまの行動を具体的に捉え直したことも、今回の改装の特徴です。
長期滞在のお客さまの場合、スーツケースの中身を家具やクローゼットに移し替え、空になったスーツケースを収納して生活することが多くなります。
一方、短期滞在では、スーツケースを出したままにし、そこから直接荷物を出し入れしながら過ごすケースが少なくありません。
そこで、客室にはスーツケースを広げて使える置き場を設けました。荷物を出し入れするたびに別の部屋へ移動するのではなく、日々の行動をLDKの周辺で完結しやすくするための工夫です。
客室の基本的なレイアウトや水回りは変更していません。すべてを新しくするのではなく、既存の客室が持つ使いやすさを残しながら、現在のお客さまに必要な機能を加える考え方を採りました。
改装にあたっては多くのアイデアが検討されましたが、シンプルで落ち着いた雰囲気にすることを優先しました。何を加えるかだけでなく、何を残すかを見極めることも、客室の価値を更新するうえで重要な判断でした。
睡眠環境と“静けさ”にも、見えない工夫を

見た目には分かりにくい部分にも、今回の改装で重視した工夫があります。
寝室では、より快適に休んでいただけるよう、カーテンボックスを設け、カーテンも遮光性の高いものへ変更しました。
出張中は、移動や勤務の都合によって就寝時間が不規則になる場合もあります。外から入る光を抑え、必要な時間に休息を取りやすくすることも、滞在中の快適性を支える要素の一つです。
音への対策としては、フローリングの張り替えにあわせて、床下に防振・吸音材を施工しました。生活音が床を通じて階下へ伝わりにくくするための改善です。
ワークデスク用の椅子も、デザインや座り心地だけでなく、移動させたときの音に配慮しました。キャスター付きのものや重いものを避け、動かしやすく、引いたときに音が出にくい仕様を目指してオーダーしています。
仕事がしやすいこと、スーツケースを広げて使えること、そして仕事を終えた後に落ち着いて休めること。客室の見た目だけでなく、お客さまの一連の行動と体験を考えながら、必要な改善を積み重ねました。
今回の改装を、今後のモデルケースへ

今回の1フロア改装は、新規のお客さまに改装後の客室を選んでいただくための取り組みであると同時に、今後、ほかのフロアの客室改装を検討するためのモデルケースでもあります。
ベトナムでは新築工事を中心に建設市場が発展してきた一方、既存建物の状態に応じた対応が求められるリノベーションには、技術や経験をさらに蓄積していく余地があります。
今回の改装でも、設計、施工、運営に携わる関係者がそれぞれの知見を持ち寄り、客室の状況を確認しながら取り組みました。そこで得られた経験を共有し、今後の客室改装に生かしていくことも、このプロジェクトの大切な成果です。
今後、ほかのフロアへ展開することも見据え、既存の家具をできるだけ生かせる客室としたことも、今回の改装の特徴です。
お客さまの声を、次の改善へ
ワークデスクや電源は使いやすいか。スーツケース置きは短期滞在のお客さまの行動に合っているか。光や音への対策は、仕事や休息のしやすさにつながっているか。こうした点は、客室が完成した時点だけでは判断できません。
実際に使っていただくことで見えてくる課題を捉え、運営に携わるスタッフの気づきとあわせて、次の改善へつなげていくことが重要です。
“快適な居住環境”を更新し続ける

今回のプロジェクトで重視したのは、単に古くなった客室を新しくすることではなく、現在のお客さまの過ごし方を丁寧に捉え、必要な機能を加えることでした。
長期滞在のお客さまの暮らしを支えてきた、サービスアパートメントとしての居住性。その強みを守りながら、短期滞在のお客さまにも選ばれる客室へと価値を高める。今回の1フロア改装は、そのための取り組みであり、次の改善に向けた出発点でもあります。
客室の完成後に寄せられるお客さまの声や、日々の運営で得られる気づきは、次の客室づくりに反映します。
ハイズオンガーデンはこれからも、時代や滞在スタイルの変化に向き合いながら、サービスアパートメントとしての“快適な居住環境”を更新し続けていきます。
ハイズオンガーデン(Hai Duong Garden)ウェブサイト
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