人が活躍する場所を創り続ける
ハイズオンガーデン・プロジェクト

成長を続けるベトナム。大規模な工業団地を有するハイズオン市でサービスアパートメント「ハイズオンガーデン」を開発し、所有、管理、運営を行っています。

ベトナム駐在を快適に。 サービスアパートメント「ハイズオンガーデン」開発インサイドストーリー Part4

鉃鋼ビルディンググループとして初めて本格的な海外進出を目指したハイズオンガーデン・プロジェクト。

現地でのタフな交渉と初めての行政手続に関わる苦労の結果、投資許可に続き土地使用権も取得し、業務は設計から工事へと移っていきます。

今回は施設へのこだわりについてインタビューしました1回目2回目3回目の記事を読む。)。


大庭明生
株式会社鉃鋼ビルディング 海外事業部 担当部長


日系資本100%企業で初めての事業認可

現地調査をした頃のベトナムでは、外国資本100%の企業が投資許可を得て土地賃貸借契約を行うことはほとんど不可能と言われていました。

当時、外国企業がビジネスを進めるためには、ベトナムの企業と合弁会社をつくる方法が一般的でした。しかし私たちは日本の企業であることにこだわりました。

諦めずに粘り強く交渉して、日系資本100%の企業として初めて投資許可を得て土地賃貸借契約を締結し独自の事業を開始することに成功したのです。

「100%」にこだわった理由は「日本的スタイルのサービスアパートメント」の実現への強い思いがあったからです。


日本的な空間で時間を過ごす

ハイズオンガーデン1階のプラン図

ハイズオンガーデンはRC造地上8階建ての建物で、1LDK41.52㎡~2LDK92.66㎡の客室が63室、レイアウトは9タイプ用意しています。

1階にフロントや事務室、ランドリー等のほか、和食レストラン、フィットネスジム、ブックコーナー、ミニショップを併設する施設として設計されました。

設計業務はグループ会社の増岡組設計部が主体となり現地の設計事務所NEWCC社の協力を得て行いました。

ハイズオンガーデンの主なお客さまは、ハイズオン市周辺に長期出張される日系企業の駐在員の方々。調査では、日本と同じような住環境で暮らしたいというニーズがあることは明らかでした。

ハイズオンガーデンを計画した意図は、日本企業進出の一助となることのほか、新しい建物ができることにより、明るい街区形成に貢献することと、1階のレストランを地域の方々にも利用していただき、街の「にぎわい創出」にも貢献することです。

加えて、私たちの開発コンセプトは、基本計画時から「日本的スタイル」にこだわり抜くこととしていました。


「ハイズオンなのに日本」住空間へのこだわり

居室(1LDK)のイメージパース図

欧米スタイルの部屋は、ドアを開けるとすぐにリビング、というスタイルがほとんどです。ハイズオンガーデンでは、まず部屋に入るとげた箱付きの玄関ホールがあり、靴を脱いで室内に入ります。

リビングルームやベッドルームへの廊下は、オンからオフに気持ちを切り替える場所としていただくため、全室に設定しました。

室内の照明も日本的です。ホテルのような暖色系の間接照明は日本のお客さまには暗く感じてしまいます。そのため日本の住宅のように昼白色などの照明で明るくしています。

居室にはキッチンや冷蔵庫、テレビにWi-Fiも完備していますので、ご自宅と同じように過ごせます。

バスルーム(完成後の実際の写真)

特にこだわりをもって設計したのは、トイレとバスルームを独立したスペースにしたことです。「日本的スタイル」にこだわり抜くことをコンセプトとしているため、当時のベトナムにはほとんどなかった肩まで浸かれるバスタブを設置し、洗い場も設けました。

建物構造の制約により床置き式のバスタブとして設計されていたため、バスタブの高さについては、またいで不自由なく入ることができるかを会議室で実験したり、現地の展示場に通い、不審に思われながらも実際に何度もバスタブの中に入ったりしながら、浴室で最大限にくつろげる理想のサイズを追求しました。試行錯誤を重ね、

最終的にはタイにある日系のメーカーに特注で希望のサイズに見合うバスタブを製作してもらいました。

このような日本式のバスタブでは多量のお湯の供給が必要なため、お客さまが全室で同時にバスタブにお湯をためても十分に対応できるよう大きなソーラーパネルを屋上に設置し、給湯設備を充実させました。

また、温水洗浄機付きのトイレを設置したサービスアパートメントは当時のベトナムでは珍しかったと思います。

屋上に設置したソーラーパネル

このほかに、その頃のハイズオン市は電力供給が不安定であったことから、館内の機器・設備が安定して動くように275kVAの自家発電装置も設置しました。

ハイズオンガーデンでは、エレベーターなどの設備からランドリー用洗濯機などの家電製品、そしてフィットネスジムに設置したトレーニングマシンに至るまで全て日本製を採用しました。

1階のミニショップ開設に当たっては、外国資本では小売業の認可取得が難しい状況にありましたが、ハイズオンガーデンが日本企業誘致に有用な施設であることを強調しながら、その館内での生活が充実するためには必要なサービスであることを訴え、粘り強く行政との交渉を行った結果、設置許可をいただきました。このミニショップでも日本製の飲食料や調味料などを中心に販売することとしました。

このようなさまざまなピースが組み合わさり「日本的スタイル」にこだわり抜いたハイズオンガーデンの設計図が完成していきました。

次回は、ハイズオンガーデンの建築工事の様子をお知らせします。

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ベトナム駐在を快適に。 サービスアパートメント「ハイズオンガーデン」開発インサイドストーリー Part3

鉃鋼ビルディンググループは2013年11月、ベトナム社会主義共和国にサービスアパートメント「ハイズオンガーデン」を開業しました。

現地の日系企業とビジネスマンを支援するための住宅開発を行うため、鉄鋼ビルディンググループは、日本の企業では初の試みとなる100%独自資本ベトナム政府から事業の認可を受けることに成功します。

今回も前回に引き続き、契約締結から工事着工に至るまでの開発プロセスをプロジェクト担当者にインタビューしました(1回目2回目の記事を読む。)。


大庭明生
株式会社鉃鋼ビルディング 海外事業部 担当部長


ハイズオン省×鉃鋼ビルディング

苦労をした末の契約締結

前回触れた土地使用権について話をします。私たちが土地を使用するためには、ハイズオン省人民委員会による、前の土地権利者からの土地回収手続き完了後に、私たちと行政側のハイズオン省との土地賃貸借契約が必要となります。そのハイズオン省も外国資本の開発事業者との土地の賃貸借契約については前例がなく、非常に苦労をされている状況が見て取れました。

土地賃借料の算定においては、ハイズオン省の財務局を中心として検討が進められ、最終的に各局長が参加する土地賃料決定会議を経て、土地賃料が決定されます。私は、その土地賃料決定会議に投資家側の立場として同席しました。

会議はベトナム語で進められ、各局長が意見を述べているようでしたが、内容については通訳を介した部分のほかは、ほとんど理解できませんでした。また、会議の段取りについて理解の違いがあったため、この初日の会議の決定については、一度持ち帰って検討することとしました。後から聞くとその場で署名するのが通例であったようで、各局長のやや引き気味の困惑した表情が印象に残っています。

当該会議から約1か月が経過し、再度会議に招集されました。今回の会議では、日本での都道府県知事に相当するハイズオン省長が参加しており、省長自らがまず意見を述べ、それに続き各局長が意見を述べていきました。最後に回ってきた書面上に記載されていた土地賃料は想定よりも若干高い金額だったのですが、社内で打ち合わせした金額の範囲内であったため、心を決めて署名を行いました。

このようにして、開発投資許可の取得から13か月の時を経て土地賃貸借契約の締結に至り、同時期に建設許可証も取得することができました。

建設前の隣接地

余談ですが、開発前のこの土地の隣には地域のごみ収集所がありました。日系企業によるサービスアパート建設は、ハイズオン市にとっても現地経済が潤うという点で日系企業誘致につながる魅力のあるプロジェクトでしたので、この集積所の撤去または移転について尽力することをハイズオン市長は約束してくれました。

しかし、サービスアパートの建物完成間近になっても、撤去・移転作業が遅々として進まないように見受けられたため、私たちは市役所にハイズオン市長を毎日のように訪ね、お願いに赴きました。さまざまな理由があったとは思いますが、これが撤去されたのは竣工式前日のことで、事務所のメンバー全員で胸をなでおろしたことを思い出します。


グループ初の現地工事事務所の開設

建物を撤去した直後の様子

ベトナムでは民間人と外国資本との直接土地取引が認められていません。そのため、本プロジェクトでは、前の土地権利者の手で以前使用していた建物を撤去のうえ、国へ土地使用権の返却手続きをしてもらい、新たに私たちが設置した現地法人「TMVD」社がハイズオン省と土地使用契約を結ぶという手法を取りました。この手法は、当時のベトナムでは前代未聞の開発事業でした。

そして2010年3月の土地権利者との交渉開始から2012年6月に土地使用権証明書(レッドブック)を取得するまで、実に2年3か月の時間を要し、ついに同年7月に建設工事に着手することになりました。工事にあたっては、グループ会社の増岡組のハノイ駐在員事務所初代所長で建築工事部所属の渡邉義洋さんが工事事務所所長として赴任し、副所長として日本人技術者を配置し、躯体・仕上げ・電気及び設備などの担当者については、現場管理技術者を現地から採用して工事事務所を開きました。

工事の体制は、増岡組の現地工事事務所から統括管理を行うベトナム現地の建設会社に発注を行い、その下で地元の各専門工事会社が施工を行う体制を作りました。1年2か月に及ぶ工期を緻密に計画し、プロジェクトを成功させたこの施工体制づくりは、現地での建築工事請負事業を狙う増岡組にとっても重要な経験となるものでした。


灼熱の起工式/決意を新たに

起工式の様子

2012年7月に行われた起工式には、ハイズオン省長をはじめとし、ハイズオン省の計画投資局、建設局、資源環境局の方々、ハイズオン市長、タンビン区区長にも参加していただきました。参列者のスコップによる鍬入れの儀式も執り行い式典は無事終了すると同時に、式典において、列席された関係者のみなさんの笑顔を眺めて、ここに至るまでの交渉や温かい支援・協力いただいたことを思い起こし、「日系企業のビジネスマンを私たちが支援する」という決意を新たにしました。

このプロジェクトがベトナムにおける「日系企業では初めての試み」であることを知ったのは、当事業のコンサルティング業務に携わっていただき、ベトナムの経済事情に詳しいBTD社の中川良一社長が、この起工式の後、ある公益財団の情報誌にこのプロジェクトを紹介してくださったときでした。

次回はハイズオンガーデンの施設のこだわりについてお話します。

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ベトナム駐在を快適に。 サービスアパートメント「ハイズオンガーデン」開発インサイドストーリー Part2

鉃鋼ビルディンググループは2013年11月、ベトナム社会主義共和国にサービスアパートメント「ハイズオンガーデン」を開業しました。

所在地のハイズオン省は、外国資本の直接投資:FDI(Foreign Direct Investment)が活発であり、既に進出している日系企業とビジネスマンを支援するための住宅開発へのニーズが強くあることを鉄鋼ビルディンググループとして把握していました。

そこでグループ初となる本格的な海外進出と、日本の企業では初の試みとなる100%独自資本でベトナム政府から事業の認可を受けることを計画します。

今回は、契約交渉行政手続現地法人の設立に至るまでの開発プロセスをプロジェクト担当者にインタビューしました(前回の記事を読む。)。


大庭明生
株式会社鉃鋼ビルディング 海外事業部 担当部長


タフな交渉のはじまり

現地ミーティングの様子

本プロジェクト実施にあたり、用地獲得のため、現地コンサルティング会社から複数の候補地の紹介を受け、ハイズオン市タンビン区の中心地で民間の職業訓練センター等で使用されていた土地について交渉を開始しました。

ベトナムにおいて、外国資本の企業は、投資プロジェクトの許可「投資許可」を受けることで、期間50年の土地使用権を取得し、土地使用権証明書(レッドブック)の交付を受けることが可能です。本プロジェクトの土地使用権の取得にあたっては、土地権利者が土地を国に返却した後に、国から土地使用権を取得する必要がありました。

したがって、まずは土地権利者に土地使用権を国に返却してもらうべく土地補償契約を締結し、次に投資許可を国から得た後、国から土地使用権を得る必要があります。


建設地となったハイズオン市タンビン区の土地。建設前は民間の職業訓練センター(2011年当時)

 本プロジェクトの最初のステップである土地権利者とその代理人との土地使用権返却に対する補償交渉においては、日本語が話せる若いベトナム人スタッフを介し、ベトナム語で交渉を行いました。しかし、交渉の過程でこのスタッフが通訳することを忘れ自ら交渉を始めてしまうことや、相手側の立場で私たちに調整を持ち掛けるということがあり、なぜ、このようなことが起こるのか、当初は事態を把握することができませんでした

スタッフがこちらの意見を伝えようとしている様子は分かるものの、私たちはベトナム語の会話の詳細までは理解することはできません。そこで交渉の内容を事務所に戻って再度確認することにしました。

すると、スタッフが土地権利者の代理人よりもかなり若いことから、日本人以上に年長者を敬うベトナムでは、私たちの要求を通せるような強い交渉をすることが難しいという状況にあることがわかりました。

私たちはその点を理解しつつ、このスタッフには「ここにサービスアパートメントを建て、日系企業のビジネスマンを私たちが支援する」という私たちのミッションを理解してもらい、土地権利者の代理人との交渉のテーブルについてもらうことにしました。その後、そのスタッフは精力的に仕事をこなしてくれるようになりました。 

こうした苦労を続けて、9か月間粘り強く交渉を行った結果、土地権利者との土地補償契約を締結しました。その後、さらに5か月を待って、土地使用権を管理するハイズオン省人民委員会から土地権利者から国へ土地返却が完了したことを通知する土地の回収決定通知書が交付され、一連の手続きがようやく完了しました。


ベトナムでの行政手続は根気強く、そして気長に

ハイズオン市内の様子(2013年当時)

この交渉と並行して、(1)当社とグループ会社の増岡組との100%共同出資による投資許可および事業会社「TMVD*」社を設立するための現地法人設立の登記申請、(2)TMVD社の名義で土地の使用許可を得るための申請、(3)増岡組がハイズオンガーデンの建設工事を受注するための現地プロジェクト法人**設立の登記申請、(4)建物の建築申請を行うための環境・消防等の各種申請など、数多くの申請手続きを行いました。

* 鉃鋼ビルディング(T)・増岡組(M)・ベトナム(V)・「開発」を表す “Development” の頭文字 ”D” の組み合わせ
** 外国資本が特定の目的を行うためだけに設立することを認められた現地法人。プロジェクト終了後は解散することが求められる。

それぞれの申請では、必要書類の確認や疑問点を所轄官庁に出向いて質問をするわけですが、担当者によって回答が異なることも多く大変困りました。仕方なく、まずは言われた書類を提出して所轄官庁からの反応を待ち、追加書類提出の指示があればそれを随時提出していくなど、中には数か月待たされるようなものもありました。日系企業の開発事例のない土地において、自力で事業を行う私たちにとり非常にタフで煩雑を極める日々が続きました。

幸い、ハイズオン省では日系企業の工場誘致にあたって、本プロジェクトのような施設の必要性を認識していることも手伝って、投資許可は当初の見込みどおり3か月で取得できました。

次回は、契約締結の苦労話と工事事務所の開設についてお話しします。

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ベトナム駐在を快適に。サービスアパートメント「ハイズオンガーデン」開発インサイドストーリー Part1

現在のハイズオンガーデン(2022年秋撮影)

鉃鋼ビルディンググループは2013年11月、ベトナム社会主義共和国にサービスアパートメント「ハイズオンガーデン」を開業しました。今回はベトナム進出の狙いや事業開発のプロセスなどをプロジェクト担当者にインタビューしました。

大庭明生
株式会社鉃鋼ビルディング 海外事業部 担当部長


グループ初の本格的海外進出へ

当海外事業は2006年にグループ会社である総合建設業の増岡組でスタートしました。

当時の国内建設マーケットは非常に厳しく、建設各社は技術力の向上に努める傍ら収益構造の多様化にも取り組んでいるところでした。

増岡組ではこの多様化の一つとして海外進出の調査を始め、日本から比較的近く、経済成長が見込めて治安が安定している国として、当時WTO(世界貿易機関)に加盟したばかりのベトナムにターゲットを絞って、2007年から現地調査を行いました。

その結果、同国における建設工事の請負、不動産開発、現地の人材開発を事業の3本柱とし、2008年にハノイ駐在員事務所を開設しました。

2010年には、ハノイで施工図制作会社ADOを設立し現地の人材開発に努める一方、残る事業計画の不動産開発事業にも注力していました。

増岡組が不動産開発を行い建築工事に取り組むことは現地施工体制確立の第一歩とも判断したためです。


不動産開発事業の始まり

私がベトナム駐在員事務所に赴任したのは、2010年です。主にハノイ市でいくつかのオフィスやホテル、サービスアパートメント用地を調査しました。

さまざまな縁があり、ハノイ市から東に60キロほど離れた交通の要衝で、大規模工業団地を周辺に有し多くの日系企業が進出しているハイズオン市のサービスアパートメント用地情報を入手しました。

当時のハイズオン市

当時のハイズオン市

私たちは10カ所ほどの候補地を視察しました。そして最終的に決めたのが、今の「ハイズオンガーデン」が建つ場所です。

決め手になったのは、周辺の環境でした。隣は小学校ですし、はす向かいには自動車学校があり、大学も近くにある、いわば文教地区です。近隣には税務署、警察署、大きな病院などの公的機関、徒歩圏内にスーパーや映画館もあり、飲食店も多い。また、車で10分ほどのところに、郊外型の大型スーパーもあります。

ここならば、サービスアパートメント事業が成立しそうだという予感を与えてくれる立地だったのです。


建設地の契約までの交渉、30回

立地が決まったら、いよいよ交渉です。

ベトナムでは土地の管理は国家が行い、企業や個人などが土地を所有することは認められていません。そのため、建設用地を確保するためには「国家」か「国家に承認された国家に準ずる機関(工業団地の開発会社等)」から、リースかサブリース(転貸)をしてもらうための交渉をします。

こちら側は現地の人脈を持っているベトナム人スタッフが前面に立って交渉にあたりました。ベトナム人は「交渉上手」と言われますが、相手もなかなかタフでした。通訳はしてもらうものの、正しく伝わっているか分かりませんし、不安を抱えながらの交渉でした。結局、30回近く交渉の場を設け、ようやく契約が成立しました。

今振り返ると、「ハイズオンガーデン」の準備の中で、この交渉が一番大変でした。


日本人駐在員の「住まいの悩み」に応えるために

立地探しや土地の交渉と並行して、私たちは、ハイズオンの日系企業で働く駐在員に、住環境についてのアンケート調査を行いました。進出していた日系企業で働く日本人駐在員は400~500人ほどいたと思います。

われわれスタッフは3人でしたが同地でほぼすべての日系企業にそれぞれ3~4回のアンケートを実施しました。

市場調査で分かったことは、住環境や通勤に関する不満でした。

日本人駐在員の多くはハノイから通勤していました。ハノイからハイズオンまでは車で片道2時間ほどかかります。毎日、往復4時間かけて通うんです。私もハノイからハイズオンまで何度も通いましたので、そのつらさが身に染みて分かりました。

ハイズオンの一軒家に住んでいる人もいましたが、当時の住環境はあまり望ましいものではありませんでした。また、ハイズオンには大きなホテルもありましたが、欧米のスタイルなので部屋の中で靴を履いたままですし、照明が暗めで日本の住環境と違うため長期滞在すると疲れてしまう人もいました。

「もっといい環境のところに住みたい」という意識を持つ日本人駐在員が多かったのです。

調査を通じて、ハイズオンには日本人向けの滞在施設の需要がある――そう確信しました。同時に、駐在員の方々の住環境を改善しなければならない、という使命感のような思いも強まっていました。

2011年3月、株式会社鉃鋼ビルディングと株式会社増岡組が共同出資し、ハイズオンにTMベトナム開発有限会社(略称「TMVD」)を設立しました。

サービスアパートメント「ハイズオンガーデン」の開発は、こうして始まったのです。

次回は、契約交渉行政手続現地法人設立に至るまでの開発プロセスについてお話します

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人が活躍する場所を創り続ける

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Creating Winning Venue

ハイズオンガーデン・プロジェクト

成長を続けるベトナム。大規模な工業団地を有するハイズオン市でサービスアパートメント「ハイズオンガーデン」を開発し、所有、管理、運営を行っています。

ハイズオンガーデン・プロジェクト