人が活躍する場所を創り続ける
ハイズオンガーデン・プロジェクト

成長を続けるベトナム。大規模な工業団地を有するハイズオン市でサービスアパートメント「ハイズオンガーデン」を開発し、所有、管理、運営を行っています。

ベトナム駐在を快適に。 サービスアパートメント「ハイズオンガーデン」開発インサイドストーリー Part3

鉃鋼ビルディンググループは2013年11月、ベトナム社会主義共和国にサービスアパートメント「ハイズオンガーデン」を開業しました。

現地の日系企業とビジネスマンを支援するための住宅開発を行うため、鉄鋼ビルディンググループは、日本の企業では初の試みとなる100%独自資本ベトナム政府から事業の認可を受けることに成功します。

今回も前回に引き続き、契約締結から工事着工に至るまでの開発プロセスをプロジェクト担当者にインタビューしました(1回目2回目の記事を読む。)。


大庭明生
株式会社鉃鋼ビルディング 海外事業部 担当部長


ハイズオン省×鉃鋼ビルディング

苦労をした末の契約締結

前回触れた土地使用権について話をします。私たちが土地を使用するためには、ハイズオン省人民委員会による、前の土地権利者からの土地回収手続き完了後に、私たちと行政側のハイズオン省との土地賃貸借契約が必要となります。そのハイズオン省も外国資本の開発事業者との土地の賃貸借契約については前例がなく、非常に苦労をされている状況が見て取れました。

土地賃借料の算定においては、ハイズオン省の財務局を中心として検討が進められ、最終的に各局長が参加する土地賃料決定会議を経て、土地賃料が決定されます。私は、その土地賃料決定会議に投資家側の立場として同席しました。

会議はベトナム語で進められ、各局長が意見を述べているようでしたが、内容については通訳を介した部分のほかは、ほとんど理解できませんでした。また、会議の段取りについて理解の違いがあったため、この初日の会議の決定については、一度持ち帰って検討することとしました。後から聞くとその場で署名するのが通例であったようで、各局長のやや引き気味の困惑した表情が印象に残っています。

当該会議から約1か月が経過し、再度会議に招集されました。今回の会議では、日本での都道府県知事に相当するハイズオン省長が参加しており、省長自らがまず意見を述べ、それに続き各局長が意見を述べていきました。最後に回ってきた書面上に記載されていた土地賃料は想定よりも若干高い金額だったのですが、社内で打ち合わせした金額の範囲内であったため、心を決めて署名を行いました。

このようにして、開発投資許可の取得から13か月の時を経て土地賃貸借契約の締結に至り、同時期に建設許可証も取得することができました。

建設前の隣接地

余談ですが、開発前のこの土地の隣には地域のごみ収集所がありました。日系企業によるサービスアパート建設は、ハイズオン市にとっても現地経済が潤うという点で日系企業誘致につながる魅力のあるプロジェクトでしたので、この集積所の撤去または移転について尽力することをハイズオン市長は約束してくれました。

しかし、サービスアパートの建物完成間近になっても、撤去・移転作業が遅々として進まないように見受けられたため、私たちは市役所にハイズオン市長を毎日のように訪ね、お願いに赴きました。さまざまな理由があったとは思いますが、これが撤去されたのは竣工式前日のことで、事務所のメンバー全員で胸をなでおろしたことを思い出します。


グループ初の現地工事事務所の開設

建物を撤去した直後の様子

ベトナムでは民間人と外国資本との直接土地取引が認められていません。そのため、本プロジェクトでは、前の土地権利者の手で以前使用していた建物を撤去のうえ、国へ土地使用権の返却手続きをしてもらい、新たに私たちが設置した現地法人「TMVD」社がハイズオン省と土地使用契約を結ぶという手法を取りました。この手法は、当時のベトナムでは前代未聞の開発事業でした。

そして2010年3月の土地権利者との交渉開始から2012年6月に土地使用権証明書(レッドブック)を取得するまで、実に2年3か月の時間を要し、ついに同年7月に建設工事に着手することになりました。工事にあたっては、グループ会社の増岡組のハノイ駐在員事務所初代所長で建築工事部所属の渡邉義洋さんが工事事務所所長として赴任し、副所長として日本人技術者を配置し、躯体・仕上げ・電気及び設備などの担当者については、現場管理技術者を現地から採用して工事事務所を開きました。

工事の体制は、増岡組の現地工事事務所から統括管理を行うベトナム現地の建設会社に発注を行い、その下で地元の各専門工事会社が施工を行う体制を作りました。1年2か月に及ぶ工期を緻密に計画し、プロジェクトを成功させたこの施工体制づくりは、現地での建築工事請負事業を狙う増岡組にとっても重要な経験となるものでした。


灼熱の起工式/決意を新たに

起工式の様子

2012年7月に行われた起工式には、ハイズオン省長をはじめとし、ハイズオン省の計画投資局、建設局、資源環境局の方々、ハイズオン市長、タンビン区区長にも参加していただきました。参列者のスコップによる鍬入れの儀式も執り行い式典は無事終了すると同時に、式典において、列席された関係者のみなさんの笑顔を眺めて、ここに至るまでの交渉や温かい支援・協力いただいたことを思い起こし、「日系企業のビジネスマンを私たちが支援する」という決意を新たにしました。

このプロジェクトがベトナムにおける「日系企業では初めての試み」であることを知ったのは、当事業のコンサルティング業務に携わっていただき、ベトナムの経済事情に詳しいBTD社の中川良一社長が、この起工式の後、ある公益財団の情報誌にこのプロジェクトを紹介してくださったときでした。

次回はハイズオンガーデンの施設のこだわりについてお話します。

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