鉃鋼ビル以上の鉃鋼ビルへ
環境にやさしいビルプロジェクト

人々にやさしく、しかも環境にもやさしいビル。鉃鋼ビルディングは、先進的な技術や設備で環境への負荷が少ないビルを目指しています。

持続可能な社会を目指してリサイクルに取り組む

鉃鋼ビルディングは2021年1月より、全館の電力を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えました。これによるCO₂(二酸化炭素)の排出量削減効果は、年間で約7,000~8,000トンとなりました。SDGsに取り組んでいる当ビルは持続可能な社会を目指し、電力以外でもさまざまな取り組みをしています。

今回は「リサイクル」をテーマにした活動をご紹介します。(全3回のうち3回目の記事。1回目2回目の記事を読む。)。


増岡裕隆(写真左)
株式会社鉃鋼ビルディング 取締役

磯野徹郎(写真右)
株式会社鉃鋼ビルディング 管理営繕部 部長


リサイクル率は79%

鉃鋼ビルディングは、多くの方にご利用いただいている大規模複合ビルで、ビル内にはオフィスのほか、サービスアパートメントや飲食店などの商業店舗があり、1日に1トン近くの廃棄物が排出されています。当ビルでは「廃棄物」を「資源」として活用できるようリサイクルに取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。

「廃棄物」や「ごみ」という言葉は、不要物というニュアンスがありますが、私たちは、そのほとんどを「リサイクル資源」と考えています。

当ビルから年間に排出される廃棄物の総量は約343.5トンにのぼります。年に2回「環境強化月間」を設定し、省エネルギー、ごみの分別による資源の再利用推進などのアナウンスを行い、テナントの皆さまと共に環境負荷の低減に努めています。その効果もあって、当ビルのリサイクル率は大型オフィスビルの平均である約64%*を大きく上回り、79%となっています。

*東京都内の延べ床面積 3,000平方メートル以上のオフィスビルの廃棄物再利用率の平均は約64%(参考:東京都環境局資源循環推進部計画課、“3Rガイドライン”、2023 年3月)


紙類は細かく分別してリサイクル

当ビルの廃棄物として最も多いのは紙類で、全体の約29.8%(約102.4トン)を占めています。

紙は、さまざまな用途に再生が可能で「リサイクルの優等生」といわれるほど、回収や再生システムが確立されています。当ビルでも、紙類はダンボールやOA用紙、雑誌、新聞などに分別した上で回収を行い、資源の再利用化を推進しています。

また、今後は館内の各種申請や受付業務のDX化を進めて、現状よりも紙の使用量自体を減らしていく予定です。


生ごみの飼料化を実現

飲食店やサービスアパートメントから排出される生ごみは、契約する外部の生ごみ飼料化工場に運搬された後、養豚用の配合飼料に加工されています。

ごみの分別の徹底をテナントの皆さまにご協力いただいた上で、回収した生ごみをビル地下の塵芥(じんかい)処理室で、人の手による再度の分別を行い、異物が混入しないよう注意しています。

工場では「油温減圧式脱水乾燥法」で、生ごみを廃食油などで揚げて水分を蒸発させて乾燥し、配合飼料向けの粉末にしています。

生ごみの飼料化は2022年8月から実施していますが、これによりビル全体のリサイクル率が79%に上昇しました。


月6トンの廃プラスチックとペットボトルもリサイクル

各所に配置されたリサイクルボックス

お弁当の容器などの廃プラスチックやペットボトルは、一つ一つは軽いのですが、集積すると相当な重量になります。

例えば、月平均の排出量は、廃プラスチックで4.3トン、ペットボトルで1.6トン、合計では6トン近くになります。これは乗用車4~5台分に相当する重量ですが、この全てをリサイクル資源として活用しています。

館内の各所にはリサイクルボックスが設置されています。入居テナント様には、廃プラスチックやペットボトルは種類ごとに分別するなどのご協力をいただいています。


再生材ごみ袋で年間1.4トンのプラスチック使用量を削減

当社のグループ会社でビル管理業務を行う「株式会社鉃鋼ビルサービス」も環境に配慮した活動をしています。

同社では、テナント様専有部を含めた館内の清掃サービスを行っていますが、その際に使うごみ袋を、2022年7月から再生プラスチック99%を原料にした環境対応型のものに切り替えました。

再生プラスチック99%を原料にした環境対応型のごみ袋

これにより、年間で1.4トンのプラスチック使用量を削減できました。

ごみの減量・リサイクルは、ビルに関わる皆さまのご理解とご協力があってこその活動であり、当ビルではリサイクル率のさらなる向上を目指し、今後も資源の有効活用に取り組んでまいります。

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「水」も「空気」も大切な資源として工夫して使う

増岡裕隆(写真右)
株式会社鉃鋼ビルディング 取締役

磯野徹郎(写真左)
株式会社鉃鋼ビルディング 管理営繕部 部長

ビルを快適な環境に保つためには、電気や水を大量に消費する必要があります。
当ビルでは「水」、そして電力を最も消費する「空調」*を無駄なく使うことで、環境負荷の低減に努めています(
全3回のうち2回目の記事。1回目3回目の記事を読む。)。

*参考:経済産業省資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー」本州・四国・九州 事業者向け(2023年6月)

水を大切に使う

当ビルでは、水資源の有効活用のため中水道設備を導入しています。中水とは、飲用に適した水道水である上水と、ビルから排出される汚水である下水の中間に当たるもので、雨水やビル内の排水の一部を再生処理した再生水のことです。

中水プラント

ビル内の排水のうち、トイレの洗面台や店舗の厨房から排出されたものは地下の中水プラントに集められます。集められた水は、固形物の除去やバクテリアとオゾンによる浄化処理が行われて、再生されます。

このようにしてつくられた水のほかに、雨水や機械排水(冷却塔排水、空調により除湿した水)を集めてろ過した水を合わせたものが中水となります。

中水は、主にトイレの洗浄水となる雑用水として利用され、現在当ビルでは雑用水全量のうち、約65%を占めています。


3種の温度の水を使って空調を高効率化

ビルの空調設備は、一般的に冷房のための冷水と暖房のための温水の2種類を使います。

当ビルでは冷水をさらに温度帯別に分け、「低温冷水」と「高温冷水」を利用する空調システムを採用しています。

この2種類の冷水と温水を季節や使用目的によって使い分けることで、快適な環境を提供するとともに電力使用量の削減を行い、環境負荷低減を図っています。


空気をきめ細かく制御して省エネに配慮

空調ゾーニング
VAV方式によりゾーン内で任意に設定されたエリアごとにきめ細かい風量や温度の設定が可能

当ビルでは大部分の事務室の空調にVAV 方式(Variable Air Volume System:可変風量方式)を採用し、室内の熱負荷(外部から出入りする熱、内部で発生する熱)に応じて自動で風量を調節することにより、エリアごとにきめ細かい温度設定が可能となり、快適性省エネルギーの両立を図っています。

ビルでは法律に基づき、室内のCO₂(二酸化炭素)濃度を一定以下に保つ必要があるため、外気の取り入れ(換気)を行っています。換気に際しては、快適さを維持するために、あらかじめ外気を熱処理(冷やす、暖める)する必要があります。一方で必要以上に換気を行うとエネルギーを無駄に消費することになってしまいます。

そこで当ビルでは空調機にCO₂センサーを設置することにより、外気取り入れ量の適正制御を行い、エネルギー使用量の削減を図っています。

地下駐車場

また、地下2階には200台以上を収容できる駐車場がありますが、ここでも車から排出されるCO(一酸化炭素)をセンサーによって感知し、排気・給気・循環ファンの運転を適正に管理することで消費電力の削減に取り組んでいます。


設備から発生する熱も無駄なく使う

当ビル地下の電気室には、外部から供給を受けた電力を、ビル内で使うことのできる電圧に変換する受変電設備が設置されています。

この設備から排出される熱(排熱)を有効利用するため、エコキュートと呼ばれるヒートポンプ給湯システムを導入しており、本来捨ててしまう空気の熱エネルギーをくみ上げて、効率よくお湯を沸かすことにより電力使用量の削減を図っています。

「水」も「空気」も身近な資源ですが、私たちは可能な限り節約や再利用を実践して、環境への負荷が少ないビルを目指しています。

次回は、持続可能な社会を目指したリサイクル活動についてお話します。

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CASBEE2部門で最高位Sランクを取得した鉄鋼ビルディング。評価されたポイントを担当者が解説。Part3

鉃鋼ビルディングは、2023年9月、一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)による「CASBEE-不動産評価認証」(スコア:90.9/100点)および「CASBEE-スマートウェルネスオフィス評価認証」(スコア:84.7/100点)の2部門でともに最高位の評価Sランクを獲得しました。

今回はビルで働く人の健康性・快適性に関して評価を受けたポイントについて、プロジェクト担当者にインタビューしました(全3回のうちの3回目。1回目2回目を読む。)。


吉田克司
株式会社鉃鋼ビルディング 管理営繕部 課長


オフィスは生産性向上や健康増進の側面についても評価される時代

オフィスは現在、企業や団体にとって「働く場」という意味だけではなく、経営を左右する投資の対象として考えられる時代になっています。また、ビル運営者がビルで働く方々の健康増進となる環境整備知的生産性の向上のためのワークプレイス(空間と環境)を提供することも重要になります。

CASBEE-スマートウェルネスオフィス評価認証は、建物利用者の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取り組みを評価するシステムです。また、建物内で働く人たちの健康性、快適性に直接的に影響を与える要素だけでなく、知的生産性の向上に資する要因や、安全・安心に関する性能についても評価しています。

以上のようなことは、鉃鋼ビルディングの建築設計においても考慮・反映されており、賛同できる思想であったため、CASBEE-スマートウェルネスオフィス評価認証についても取得しました。


知的生産性の向上に関する評価

グリッド式システム天井

ビルで働く方にとっての働きやすさという項目も評価の対象となっています。

鉃鋼ビルディングでは、オフィスで働く人にとっての働きやすさを考慮し、さまざまなオフィスレイアウトにも柔軟に対応できるよう、グリッド式システム天井を導入しています。

これは3.6m四方のモジュールを組んで照明・空調などをユニット化して設置することにより、オフィスレイアウトの自由度を高めています。例えば、オフィス空間を区切る間仕切り壁の設置場所をきめ細かく設定し、用途の異なる様々な居室を設けることができます。

空調については、個人の快適性を重視して、エリアごとにきめ細かい風量や温度の設定ができるように可変風量方式(VAV)を採用しています。このほか、大量のOA機器導入にも対応ができるよう、コンセント容量は75VA/㎡のOA電源容量を確保しています。


健康・快適空間の提供に関する評価

鉃鋼ビルディング本館のオフィス区画は、アウトフレーム構法の採用により柱のない開放的なオフィス空間を確保しています。

天井高は2,950mmと通常のオフィスビルと比べて余裕のある高さとなっています。そして、窓も大開口で開放感を確保しつつ、Low-eペアガラスと太陽光自動追尾ブラインドで日中の日射熱(太陽光によって生じる熱)を適切に遮り、入居する皆様に快適に過ごしていただける環境を提供しています。

また、窓際に設置したエコレーターと呼ばれる重力式自然換気システムでは、通常、高層の建築物では費用面やメンテナンス性の懸念から敬遠されがちな自然換気を実現しています。これは、コロナ禍の換気対策にも有効で、入居テナント様に大変重宝されました。


利便性向上に関する評価

エレベーター行先予報システム

鉃鋼ビルディングでは、高齢者や車椅子利用者が支障なく館内を移動できるように、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー法)」の建築物移動等円滑化誘導基準や、「東京都福祉のまちづくり条例」に則り、緩やかな勾配スロープと手すり、広い廊下を整備しています。また、廊下に障害物がないように、床置きサインを全廃し壁付けにする等の細かい部分にも配慮しています。

このほかに、本館オフィスフロアの中高層エレベーターには、先行予報システム機能があります。これは利用者がエレベーターホール手前のセキュリティゲートにICカードをかざすと、複数台あるエレベーターの中から、自分が乗車するエレベーターをモニターで案内するシステムです。このシステムを導入したことで、非接触でエレベーターを乗降できることに加え、運転効率が上がることで待ち時間の短縮につながり、エレベーター待ちのストレスも減らせました。

また、東京駅まで徒歩2分という立地と南館の羽田・成田両空港へのリムジンバスの発着場などの交通利便性の高さや、サービスアパートメント・商業施設・貸会議室などのビジネスサポート施設の充実度も評価されています。


プログラムに関する評価(ステイクホルダーとの連携面)

救急救命講習の様子

入居するテナントの皆様をはじめ、協力会社との連携は欠かせません。1階のエントランスホールで定期的に行われる無料クラシックコンサートや体験イベントは、ビルに入居するテナントの皆様への満足度とメンタルヘルスの向上も目的の一つとして実施してきましたが、この点も評価のポイントとなりました。

また、コロナ禍においては、共用部の定期的な消毒作業を行ったほか、新型コロナ対策ガイドラインを策定し、パンデミック時にも滞りなくビル運営、利用ができるように備えていることも評価を得ました。


今後の展望について

私たち株式会社鉃鋼ビルディングは、脱炭素社会、持続性のある社会の実現に向けてSDGsの17のうち11のゴールの実現を掲げています。

CASBEEにも求められるような社会的要請に応えるだけでなく、今後も選ばれるオフィスであり続けるために、建物利用者の快適性を追求した活動を続けていきます。

 

 

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CASBEE2部門で最高位Sランクを取得した鉄鋼ビルディング。評価されたポイントを担当者が解説。Part2

 

鉃鋼ビルディングは、2023年9月、一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)による「CASBEE-不動産評価認証」(スコア:90.9/100点)および「CASBEE-スマートウェルネスオフィス評価認証」(スコア:84.7/100点)の2部門でともに最高位の評価Sランクを獲得しました。

今回は建物の安全性と建物の設計上の配慮などについて評価を受けたポイントについて、プロジェクト担当者にインタビューしました(全3回のうちの2回目。1回目3回目を読む。)。



吉田克司
株式会社鉃鋼ビルディング 管理営繕部 課長


安心・安全性に関する評価―高い耐震性能―

ビルを大地震の揺れを軽減させる天然ゴム系積層ゴム支承

今回は、ビルの安心・安全性に関するポイントを見ていきましょう。鉃鋼ビルディングは商業店舗やオフィスエントランスを構えている低層階のビル基壇の上に、オフィスを主用途とした本館(26階建・高さ約132m)と、サービスアパートメントやビジネスサポート施設が入る南館(20階建・高さ約99m)の高さが異なる2棟が建つ構成となっています。

この構成に対しても高い安全性を確保するため、通常は地下に設置される免震層を双方のビルの地上階に免震層を設ける中間免震構造を採用し、地面の揺れが建物へ直接伝わらないようにしています。

震度7クラスの大地震の後でも継続して使用できる建築構造となっており、近隣地区の高層ビルでは初めての高い技術力を駆使した試みでした。本館においてはオイルダンパー、U型鋼材ダンパー、天然ゴム系積層ゴム支承の3種類の免震材料で地震の影響を最小限に抑制します。


非常時にも安全な環境を提供できる施設として

こうした建物の耐震性に加えて、災害時の設備の信頼性についても評価されています。災害や万一の停電などが起きても、ビルに入居するテナント企業の皆様が安全にビル内に留まることができる環境が必要となります。

当ビルではこのような非常時に備えて、電力会社からの電力供給が1回線途絶した場合でも他回線からの受電ができるスポットネットワーク3回線受電方式を採用しています。このほか停電時でもガス・重油のどちらでも稼働するデュアルフューエル発電機を備え、オイルタンクとの併用で72時間以上使用可能な非常用発電機を備えていることが評価につながっています。


運営管理体制に関する評価

年2回の総合防火防災訓練の様子

これまで説明した設備や機器を安定的に使用していくためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

鉃鋼ビルディングのメンテナンスについては、建築主・ビル運営者である鉃鋼ビルディング自らが積極的に関わっています。また、営業、維持管理を担当する部署がコンパクトな組織であることから、入居者の要望の把握や対応等でスピーディーな動きを取れるため、テナントの皆様から満足いただいています。

また、日常のメンテナンス業務については、建物の統括管理を行っている株式会社鉃鋼ビルサービスのもと、様々な専門会社が日夜建物、外構の美観や設備機能の維持・保全業務を行っています。また、ビル運営者、ビル管理者、入居するテナントの皆様が一体となって実施する総合防火防災訓練を毎年2回行っていて、東京消防庁の優良防火対象物の認定も受けています。

今後もより一層の連携強化と情報共有を行い、運営レベル及び緊急事態への対応能力の向上を図っていきます。


建物の設計上の配慮に関する評価

鉃鋼ビルディングは建て替えを検討する際に、ビル単体としての意匠性だけでなく、周辺景観にも配慮して設計されました。

具体的には東京駅上部空間の抜けから皇居と日本橋にかけて低くなる緩やかなスカイラインを踏襲した高さとしました。また、南館低層部のファサードは外堀通り沿いのガラスを中心とした景観との連続性に配慮し、高層部の白い大きな庇と湾曲した外装は、東京駅から訪れる人々を迎え入れるようなデザインとなっています。

一方、本館は北側の大通り(永代通り)延長上にある金融エリアを意識した重厚感で落ち着きと風格のあるファサード(建物の正面)となっています。さらに、本館の柱型(アウトコラム)はビル正面に彫りの深い陰影を作り出すだけでなく、室内への日射を制御する役割を果たすなど、意匠と機能が両立されています。


自然植生、ヒートアイランド化抑制に関する評価

南北をつなぐ散策路の木々は江戸時代の土地固有のものを植樹

鉃鋼ビルディング敷地の南北をつなぐ外構の散策路は、保水性舗装によってヒートアイランド現象の抑制にも寄与していることが評価されました。

また、ここにある木々は江戸(東京)にあった自然植生の再現にこだわって植えられています。元来この土地にはどのような植物が息づいていたのかを調査し、常緑広葉樹のシラカシやタブノキといったこの土地固有の樹種を選んで植樹しました。

この散策路は自然環境の維持、土地の歴史を後世に伝える点だけでなく、散策路としてオフィスワーカーの歩行運動を促進し、健康性に貢献している点でも評価を得ています。

次回は、ビルで働く人の健康性・快適性に関して評価を受けたポイントを解説します。

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CASBEE2部門で最高位Sランクを取得した鉄鋼ビルディング。評価されたポイントを担当者が解説。Part1

鉃鋼ビルディングは、2023年9月、一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)による「CASBEE-不動産評価認証」(スコア:90.9/100点)および「CASBEE-スマートウェルネスオフィス評価認証」(スコア:84.7/100点)の2部門でともに最高位の評価Sランクを獲得しました。

今回は評価認証取得の意義と評価を受けたポイント(主に環境性能)について、プロジェクト担当者にインタビューしました(全3回のうちの1回目。2回目3回目を読む。)。


吉田克司
株式会社鉃鋼ビルディング 管理営繕部 課長


CASBEEを取得する意義

現在の鉃鋼ビルディングは、2015年10月に竣工した建物です。建物の設計段階から環境負荷低減やビルを利用・入居する皆様の快適性に配慮して設計されています。その性能は竣工から約8年経過した2023年12月現在においても最新ビルと遜色ありません。

昨今の不動産、建設業界においては環境配慮やサステナビリティへの取り組みが強く求められています。そのような社会情勢のなか、環境や利用者に配慮された鉃鋼ビルディングとしての価値・性能を対外的に表す手段として、建築物の総合環境性能格付けである「CASBEE-不動産評価認証」(以下「CASBEE-RE」)と、室内の快適性や健康性等の格付けである「CASBEE-スマートウェルネスオフィス評価認証」(以下「CASBEE-SWO」)を取得しました。

格付けを取得したことで入居テナント様のCSR(企業の社会的責任)やSDGsへの取り組みへの貢献にもなり、鉃鋼ビルディングの付加価値向上につなげています。


CASBEEは「高い環境性能/少ない環境負荷」が評価される

CASBEEは「Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency(建築環境総合性能評価システム)」の略です。

その中で、さらに複数のカテゴリに分かれており、鉃鋼ビルディングが取得した「CASBEE-RE」は既存建築物を対象とした性能評価システムで、「CASBEE-SWO」は建物利用者の健康性や快適性の性能評価システムです。

評価は5段階に分類され、建物がその敷地を越えた外部へ与える環境負荷(L)と敷地内の屋外環境、建物の室内環境(Q)の点数によって格付けが決まります。

つまり、Sランクを取得した鉃鋼ビルディングは「建物の室内環境に優れ、外部環境への負荷も少ないビル」と評価されたことになります。

出典元:一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターホームページ

 


2021年からはSDGsチェックリストが追加された

CASBEE-REは2021年SDGs対応版として「建築環境SDGsチェックリスト」を整備しました。これにより、CASBEE-REの評価項目に加えて、SDGs達成へ向けた建物利用に際する工夫や各種取り組みを任意で評価することが可能となりました。

鉃鋼ビルディングはSDGsチェックリストで5点満点中4.4の評点を獲得しています。


エネルギー・資源に関する評価

空調用水冷式ターボ冷凍機

まず、近年、社会的に関心が高まっている環境負荷に関係するところから説明をします。鉃鋼ビルディングでは照明、空調換気、給排水等の各設備において高効率設備を導入しています。

オフィスワーカーによってなじみのある設備としては、高効率LED照明や昼光利用制御センサーが挙げられます。空調でも、顕潜熱分離処理方式(温度帯の異なる2種類の冷水を活用した熱源の高効率化)を採用し、消費エネルギーの低減を実現しています。これらの設備によって環境負荷低減や利用者の快適性向上を図っています。

また、自社だけではなく、テナント企業の皆様にもCO2排出量に意識を向けていただくために、BEMS(Building Energy Management System)を利用した消費エネルギーの「見える化」を導入するなど先進的な取り組みを行っています。

さらに、2021年より導入した再生可能エネルギー由来電力の100%利用で、ビル全体で年間約7,000~8,000トンものCO2排出を抑制することに成功しています。


水の使用量を抑える中水プラントシステム

このほか、水の使用量を抑えるため、雨水や雑排水を中水として有効利用しています。

一般的にはトイレ等の排水用水は上水道の水を利用することが多いですが、鉃鋼ビルディングでは館内の雑排水と雨水を中水プラントに貯め、再利用できるように濾過、浄化した水を上水と下水の中間にあたる「中水」として利用しています。

これらをトイレの洗浄水などに再利用して水の使用量を抑えているわけです。また、冷却塔補給水などの設備用水についても、モニタリング実施のうえ、水質安全度を十分に確保しているという点で評価を受けました。


資源利用に関する評価

現在、飲食店などの商業テナントなどから出る生ごみについては100%飼料化し、ごみ排出の抑制に成功しています。

また、ビルを建てるときには、コンクリートや仕上材などに積極的に再生材を使用しました。ビルから出た廃材についても90%以上をリサイクルに回すことができており、この点も高い評価を得ました。

 

次回は、建物の安全性と建物の設計上の配慮などについて評価を受けたポイントを解説します。

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CO2排出量削減へ向けた鉃鋼ビルディングの取り組み

増岡裕隆(写真左)
株式会社鉃鋼ビルディング 取締役

磯野徹郎(写真右)
株式会社鉃鋼ビルディング 管理営繕部 部長

鉃鋼ビルディングは将来の地球環境を守るため、「環境にやさしいビルプロジェクト」を推進しています。今回はCO2排出量削減へ向けた鉃鋼ビルディングの取り組みについて、プロジェクトの2人にその一部を紹介してもらいました。全3回のうちの1回目(2回目3回目の記事を読む。)。


先進的な省エネ設備を導入

鉃鋼ビルディングは、2015年に建て替えをした際、当時の最新技術を採り入れて省エネ化をはかりました。

太陽光追尾型自動ブラインド制御

例えば「太陽光追尾型自動ブラインド制御」は、日射角度に合わせてブラインドのスラット(はね)の角度を自動調整するシステムです。室内をできるだけ明るく保ちつつ、強い日差しを遮断してくれるので空調の電力消費を抑える効果があります。このシステムは、当ビルの全てのオフィスに導入しています。

Low-E複層ガラス

空調エネルギー効率を高めるためには、窓の断熱性能を高めることが必要です。「Low-E複層ガラス」は、複層ガラスの内側に特殊な金属のLow-E膜をコーティングして高い断熱性能を持っています。太陽光追尾型自動ブラインド制御、さらに周囲の明るさを検知して照明を適正な明るさにコントロールする照明調光自動制御と併せて、省エネと快適性を向上しています。

このほかにも「自然換気システム」や「高効率LED照明」などの省エネにつながる設備も採り入れました。このようなさまざまな省エネ設備の効果の積み重ねで、消費電力の大幅削減につながっています。

具体的な設備は下記の記事でも解説しています。あわせてお読みください。
SDGsへの思い。そして私たちが取り組んできたこと


全電力を再生可能エネルギー由来の電力に

2020年には、全社横断的にSDGsプロジェクトを立ち上げました。それまでも省エネには取り組んできましたが、さらに一歩進め、環境面でより高いレベルを目指す方法を議論した結果、たどり着いたのが「再生可能エネルギーの導入」でした。

そして2021年1月1日、使用する電力量全てについて再生可能エネルギー由来の電力に切り替えました。これにより、当ビルは日本初(当社調べ)の「再生可能エネルギー由来電力100%導入の大規模複合ビル」となりました。

電気室。全館の電気はここで制御されている。

電気室。全館の電気はここで制御されている。

CO2の削減効果は大きく、現在でも年間7000tCO2削減効果があります。

電力切り替えで電気料は1割強上がりました。しかし当社の施策の結果を入居企業様に負担いただくのは好ましくないため、テナント様への転嫁はしませんでした。また、テナント様の中にはRE100(事業活動を100%再エネで賄うことを目指す国際的な企業連合)の加盟企業様もいます。今後も環境に配慮する企業やユーザーに選んでいただけるビルにするためには、値上がり分の負担はコストというより先行投資と考えました。

再生可能エネルギーへの切り替えで、入居企業様は非常に喜んでくださいました。新聞などでも取り上げられ、再生可能エネルギーを使っているビルならば入居したい、という問い合わせをいただくなど、予想以上の反響がありました。

導入当時は木質チップやパーム椰子殻を燃料としたバイオマス発電の電力を使用していました。バイオマス燃料は生産や運搬の段階で多少なりともCO2を排出しますので、2022年1月からは、よりクリーンな水力発電の電力に変更しています。


テナント様と協力した節電への取り組み

2022年の3月に、警報が発令されるほど電気需要がひっ迫したことがありました。

そこで当ビルでも節電する方法を模索しました。できることは全て実施していたので、できることは少なかったのですが、そんな中、テナント様から節電、照度の調整にご協力を申し出ていただき、実施したものもありました。

このような活動は、お客様の協力があってこそです。当ビルでは竣工時から年に2回、「環境強化月間」を設けています。小まめにスイッチを切るという省エネ活動や、ごみの分別による資源再利用の推進などの活動を行い、当社とお客様が力を合わせて環境負荷の低減に努めています。

鉃鋼ビルディングは今後も「環境にやさしいビル」を目指して、CO2排出量削減に向けた取り組みをしていきます。

次回は、「水」と「空気」を大切な資源として使用している状況について説明いたします。

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プロジェクト 一覧

Evolving TEKKO BUILDING

環境にやさしいビルプロジェクト

人々にやさしく、しかも環境にもやさしいビル。鉃鋼ビルディングは、先進的な技術や設備で環境への負荷が少ないビルを目指しています。

環境にやさしいビルプロジェクト

Evolving TEKKO BUILDING

ヘラルボニー・アートプロジェクト

「異彩を、放て。」をコンセプトに「福祉を起点とした新たな文化の創造」を目指す福祉実験ユニット「ヘラルボニー」とコラボレーションするプロジェクトです。

ヘラルボニー・アートプロジェクト