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環境にやさしいビルプロジェクト

人々にやさしく、しかも環境にもやさしいビル。鉃鋼ビルディングは、先進的な技術や設備で環境への負荷が少ないビルを目指しています。

CASBEE2部門で最高位Sランクを取得した鉄鋼ビルディング。評価されたポイントを担当者が解説。Part2

 

鉃鋼ビルディングは、2023年9月、一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)による「CASBEE-不動産評価認証」(スコア:90.9/100点)および「CASBEE-スマートウェルネスオフィス評価認証」(スコア:84.7/100点)の2部門でともに最高位の評価Sランクを獲得しました。

今回は建物の安全性と建物の設計上の配慮などについて評価を受けたポイントについて、プロジェクト担当者にインタビューしました(全3回のうちの2回目。1回目3回目を読む。)。



吉田克司
株式会社鉃鋼ビルディング 管理営繕部 課長


安心・安全性に関する評価―高い耐震性能―

ビルを大地震の揺れを軽減させる天然ゴム系積層ゴム支承

今回は、ビルの安心・安全性に関するポイントを見ていきましょう。鉃鋼ビルディングは商業店舗やオフィスエントランスを構えている低層階のビル基壇の上に、オフィスを主用途とした本館(26階建・高さ約132m)と、サービスアパートメントやビジネスサポート施設が入る南館(20階建・高さ約99m)の高さが異なる2棟が建つ構成となっています。

この構成に対しても高い安全性を確保するため、通常は地下に設置される免震層を双方のビルの地上階に免震層を設ける中間免震構造を採用し、地面の揺れが建物へ直接伝わらないようにしています。

震度7クラスの大地震の後でも継続して使用できる建築構造となっており、近隣地区の高層ビルでは初めての高い技術力を駆使した試みでした。本館においてはオイルダンパー、U型鋼材ダンパー、天然ゴム系積層ゴム支承の3種類の免震材料で地震の影響を最小限に抑制します。


非常時にも安全な環境を提供できる施設として

こうした建物の耐震性に加えて、災害時の設備の信頼性についても評価されています。災害や万一の停電などが起きても、ビルに入居するテナント企業の皆様が安全にビル内に留まることができる環境が必要となります。

当ビルではこのような非常時に備えて、電力会社からの電力供給が1回線途絶した場合でも他回線からの受電ができるスポットネットワーク3回線受電方式を採用しています。このほか停電時でもガス・重油のどちらでも稼働するデュアルフューエル発電機を備え、オイルタンクとの併用で72時間以上使用可能な非常用発電機を備えていることが評価につながっています。


運営管理体制に関する評価

年2回の総合防火防災訓練の様子

これまで説明した設備や機器を安定的に使用していくためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

鉃鋼ビルディングのメンテナンスについては、建築主・ビル運営者である鉃鋼ビルディング自らが積極的に関わっています。また、営業、維持管理を担当する部署がコンパクトな組織であることから、入居者の要望の把握や対応等でスピーディーな動きを取れるため、テナントの皆様から満足いただいています。

また、日常のメンテナンス業務については、建物の統括管理を行っている株式会社鉃鋼ビルサービスのもと、様々な専門会社が日夜建物、外構の美観や設備機能の維持・保全業務を行っています。また、ビル運営者、ビル管理者、入居するテナントの皆様が一体となって実施する総合防火防災訓練を毎年2回行っていて、東京消防庁の優良防火対象物の認定も受けています。

今後もより一層の連携強化と情報共有を行い、運営レベル及び緊急事態への対応能力の向上を図っていきます。


建物の設計上の配慮に関する評価

鉃鋼ビルディングは建て替えを検討する際に、ビル単体としての意匠性だけでなく、周辺景観にも配慮して設計されました。

具体的には東京駅上部空間の抜けから皇居と日本橋にかけて低くなる緩やかなスカイラインを踏襲した高さとしました。また、南館低層部のファサードは外堀通り沿いのガラスを中心とした景観との連続性に配慮し、高層部の白い大きな庇と湾曲した外装は、東京駅から訪れる人々を迎え入れるようなデザインとなっています。

一方、本館は北側の大通り(永代通り)延長上にある金融エリアを意識した重厚感で落ち着きと風格のあるファサード(建物の正面)となっています。さらに、本館の柱型(アウトコラム)はビル正面に彫りの深い陰影を作り出すだけでなく、室内への日射を制御する役割を果たすなど、意匠と機能が両立されています。


自然植生、ヒートアイランド化抑制に関する評価

南北をつなぐ散策路の木々は江戸時代の土地固有のものを植樹

鉃鋼ビルディング敷地の南北をつなぐ外構の散策路は、保水性舗装によってヒートアイランド現象の抑制にも寄与していることが評価されました。

また、ここにある木々は江戸(東京)にあった自然植生の再現にこだわって植えられています。元来この土地にはどのような植物が息づいていたのかを調査し、常緑広葉樹のシラカシやタブノキといったこの土地固有の樹種を選んで植樹しました。

この散策路は自然環境の維持、土地の歴史を後世に伝える点だけでなく、散策路としてオフィスワーカーの歩行運動を促進し、健康性に貢献している点でも評価を得ています。

次回は、ビルで働く人の健康性・快適性に関して評価を受けたポイントを解説します。

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