人が活躍する場所を創り続けるハイズオンガーデン・プロジェクト

成長を続けるベトナム。大規模な工業団地を有するハイズオン市でサービスアパートメント「ハイズオンガーデン」を開発し、所有、管理、運営を行っています。

ベトナム駐在を快適に。サービスアパートメント「ハイズオンガーデン」の舞台裏

洪水に遭い冠水するハイズオンガーデン建設現場

2013年11月、私たちはベトナムのハイズオン省 (現ハイフォン市内) で日本スタイルのサービスアパートメント「ハイズオンガーデン」を開業しました。そしてお客さまに安心してご滞在いただくため、今日までさまざまな困難を乗り越えてきました。今回は、その道のりをお話しします。


 

机を挟んで着席し談笑する担当社員の男性2名

齋藤佳則(写真右)
株式会社鉃鋼ビルディング 海外事業部 部長

大庭明生(写真左)
株式会社鉃鋼ビルディング 海外事業部 担当部長


開業当初の試練と集客への挑戦

ハイズオンガーデン開業当初、周辺に日本人向けの本格宿泊施設はありませんでした。私たちは事前の調査で需要を見込み、大きな期待とともに開業しましたが、最初の約1年間は厳しい集客状況が続きました。認知度が低く、稼働率は伸び悩んだのです。

この状況を打開するため、積極的なプロモーションを開始しました。まず、計画段階でアンケートにご協力いただいた日系企業へごあいさつに伺いました。広告宣伝としては、工業団地近くの国道沿いに大きな看板を設置。タクシーへのラッピング広告や日本語フリーペーパーへの出稿、現地の日本食レストランへのチラシ設置も行いました。

後部座席のドアに広告が貼られた、路上に停車中の緑色のタクシー

タクシーのラッピング広告

これらの地道な活動と、ご利用いただいたお客さまからのクチコミにより、ハイズオンガーデンの存在は徐々に認知され、稼働率85%を達成できるまでになりました。


水害対策:先見性で被害を回避

市街地の道路が冠水している中を、自動車やバイクが走る様子

この地域では、雨季(通常5月から10月ごろ)に大雨による水害が頻繁に発生し、道路の冠水が長年の課題でした。開業の翌年も道路が冠水し、周囲はまるで川のようになりました。しかし、ハイズオンガーデンは被害を免れました。

これは、地域の洪水リスクを考慮し、建物のグラウンドレベルを30cm高く設定してあったことが功を奏したのです。近年では下水整備などの浸水対策が進み、以前のような甚大な洪水は減少傾向にありますが、こうしたインフラ整備が進行する以前からの先見性による対策が、私たちを守ってくれました。


予期せぬ国際問題の波紋:南シナ海情勢に関連する2014年の出来事

事業がようやく軌道に乗り始めた矢先、私たちは、南シナ海における領有権を巡る国際的な情勢変化という大きな問題に直面しました。

これは、2014年5月13日からベトナム各地で発生した一連の出来事に端を発するものです。一部の地域では治安が悪化し、極めて危険な状況になりました。この事態が、ハイズオン市にも迫っているとの情報があり、私たちも緊迫した状況に置かれました。

こうした中、ハイズオンガーデンは建物の外にベトナムと日本の国旗を掲げ、日本の施設であることを強くアピールしました。結果的には数日で情勢は沈静化し、ハイズオンで大規模な混乱や直接的な被害は起きませんでしたが、この出来事は私たちにとって非常に大きな出来事として記憶されています。


コロナ禍の決断:感染者の受け入れを巡る葛藤

非接触式体温計を掲げる、マスクを着用したフロントの男性スタッフ

2020年に入ると、世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに見舞われました。

ベトナム政府はいち早く法に基づく厳格な措置を講じ、徹底した感染防止対策を採りました。特に人の移動は厳しく規制され、海外や省外からのゲストは証明書での申告が求められ、一定期間の隔離が必要でした。

国民や滞在者は、政府の指導により外出が厳しく制限され、当局に申告した勤務先などとの往復のみが許されるという状況でした。

これらの対策に加え、ハイズオンガーデンでもマニュアルを独自に作成し、対策を実施しました。具体的には、マスクの着用、こまめな手洗いとアルコール消毒などの基本的な対策に加え、受付カウンターにアクリルのパーティションを設置し、空気清浄機を新たに設置するなどの設備の整備も行い、感染拡大の予防に努めました。客室清掃時にはできる範囲でアルコール消毒を徹底し、エレベーターやドアノブなどは1時間ごとに消毒するなど、館内の衛生面も徹底しました。感染拡大の防止は、当時の最大の課題でした。

レストラン入口のドアを拭きあげる男性スタッフ

この未曾有の危機において、私たちは大きな決断を迫られました。感染者の受け入れ宿泊施設という指定を受ければ、客室の稼働率が上がることは明白で、実際に市内の他の宿泊施設は感染者を受け入れていました。

しかし、ハイズオンガーデンは現地で働く長期滞在のお客さまや一般のお客さまの継続的な生活を優先しました。

宿泊のお客さまは外出を禁じられていましたが、幸いなことにハイズオンガーデンは1階に和食レストラン「安芸」があり、客室へのケータリング対応が可能でした。これは食事面で大きな支えとなりました。


国際ネットワークを駆使したマスク調達

段ボール箱に入ったマスクのイメージ画像

ベトナムで2020年1月23日に最初の感染者が確認されると、ベトナム全土でマスクが売り切れました。当初は日本でまだマスクが買えたため、急きょ1000枚ほど購入し、ベトナムに送りました。

しかし、スタッフやお客さま、関連会社の社員にも配布したため、やがて不足する事態に。その頃には日本もマスク不足になっていました。

そんな中、カンボジアにある関連会社の駐在員が「隣国のタイにはマスクがある」という情報をつかんできました。そこでタイからカンボジアにマスクを輸入しましたが、当時はベトナムへの航空便が運休しており、ベトナム北部に空輸することができませんでした。

そのため、いったん日本に空輸し、それをベトナムに送るというリレー形式で届けました。苦労して調達したマスクは大変感謝されましたが、実はそのマスクが「メイド・イン・ベトナム」だったというオチがあったことには、驚きを隠せませんでした。


成田から防護服でベトナム出張

2020年3月、ベトナム政府は外国人の入国を原則停止しました。例外的に、投資家や専門家、高度労働者などの入国は受け入れられましたが、全ての入国者には14日間の隔離が義務付けられるという厳格な水際対策がとられていました。

その頃、ベトナムに商談のため出張しました。日本からは旅行会社がチャーターした航空便だけが入国を許可されていたため、その便に搭乗しての出張でした。

水色の防護服を着た人々が乗ったバス車内の様子

防護服を着たままバスで移動する日本からの出張者

成田空港から防護服を着たまま飛行機に乗り込み、ベトナムのハノイにある空港に着くと、車で2時間ほど離れたハイフォン市の隔離施設まで送られ、そこで14日間を過ごしました。
ベトナムに向かう機内での、咳(せき)一つできない張り詰めた雰囲気は、今も忘れられません。


腕組みをして目線を正面に向ける2名の担当社員

開業以来、私たちはさまざまな危機に向き合ってきました。その中で一番大切にしたのは、お客さまと従業員の安全と安心です。これからも従業員が力を合わせ、皆さまが笑顔で過ごせる環境を守ってまいります。


ハイズオンガーデン(Hai Duong Garden)ウェブサイト

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