2025年9月、鉃鋼ビルは、日本政策投資銀行(以下、「DBJ」)が運営する「DBJ Green Building認証(オフィスビル版)」において、最高評価である5つ星を取得しました。
前回の記事では、「DBJ Green Building認証(オフィスビル版)」の5つある評価軸のうち、高い評価を受けたWell-BeingとResilienceの分野についてご紹介しました。
今回は、残る3つの評価軸──Energy & Resources、Community & Diversity、Partnership──に焦点を当て、今後の展望と、環境評価認証をめぐる企業の取り組みについてご紹介します。(全2回のうち2回目の記事。1回目の記事を読む)。

Energy & Resources(省エネルギーと省資源)
評価を受けた点:
【省エネルギー性能】
・一次エネルギー消費量の抑制
【空調・換気・断熱】
・空調効率化のための高頻度のフィルター清掃実施
・専用換気窓の設置による外気導入への配慮
・CO2濃度センサーによる外気導入量の自動制御
【照明】
・人感センサー設置による消灯・減灯制御
・昼光利用に応じた照度制御システム・LED照明の全面導入による省エネ設計
【節水】
・中水設備による雨水・雑排水の再利用(中水プラントシステム)
・節水型トイレの採用
【LCC低減】
・建物にリサイクル素材を採用
【省資源】
・ごみ処理に関するマニフェスト電子化
【環境ラベリングの取得】
・CASBEE‐不動産評価・CASBEE‐ウェルネスオフィス評価でSランク取得
鉃鋼ビルでは、2011年の建物の設計計画から現在の運用に至るまで、環境に対する配慮を一貫して行ってきました。館内には、雨水や雑排水を再利用する中水設備や、温水、高温冷水、低温冷水の3種類の温度の水を使って空調を高効率化する設備など、資源を有効活用できる設備を設置しています。

室内環境とエネルギー性能の最適化を図る装置を設置し、設備システムの高効率化を図っています。
また、館内では、生ごみの飼料化や廃材の再資源化など、資源循環型の取り組みも進められており、テナント企業の協力のもと、持続可能な社会の実現に向けた活動が日常的に行われています。
今後は、テナント企業の皆様と協力会社の皆様にご協力いただき、協議を重ね、関係者全体での更なる対話を通じて、具体的な省エネルギー・省資源活動を展開していくことを提案したいと考えています。
Community & Diversity(利用者多様性・周辺環境・生物多様性への配慮)

評価を受けた点:
【利用者多様性への配慮】
・ユニバーサルデザインの導入、バリアフリートイレの設置
・個人用会議ボックスの建物内設置による多様な働き方への対応
・外国語表記案内による外国人・インバウンド対応
・オフィスエントランスの有人総合受付によるホスピタリティ
【周辺環境への配慮】
・大規模な壁面緑化、屋上緑化、公開空地の外構緑化
・保水性・透水性舗装、ドライミスト設置による熱環境緩和
鉃鋼ビルでは、利用者の多様性や周辺環境への配慮を大切にしています。館内にはユニバーサルデザインが導入され、バリアフリートイレや外国語表記の案内など、多様な働き方に対応する工夫が施されています。
今後は、生物多様性認証の取得の可能性の検討やビルの立地する土地の歴史的背景を活かしたパネル等を用いた情報発信を行い、地域との関係をさらに深める取り組みを行ってまいります。
Partnership(パートナーシップと情報開示)

評価を受けた点:
【パートナーシップ】
・テナントへの月次エネルギー使用量の開示と比較を可能とするシステムの採用
・建物所有者・運営者間でのCO₂、省エネ目標の共有
・BCPマニュアル整備とテナントとの共有
【情報開示】
・サステナビリティ方針に沿った物件管理体制
・ウェブサイトを通じた環境情報の発信
鉃鋼ビルの協働の姿勢は、日常の運営に深く根付いています。テナント企業の皆様に対して月ごとのエネルギー使用量を開示し、過去の使用量と比較できるようにすることで、環境意識の共有を図っています。また、CO₂削減目標の共有や、長期修繕計画の策定、BCPマニュアルの整備など、館内の協力会社の皆様と一体となって物件の価値を高める取り組みが進められています。
今後は、館内にあるデジタルサイネージを活用し、積極的な情報発信を検討することに加え、双方向の対話機会の充実等による啓発活動の推進により、協働体制の深化ができるのではないかと考えています。
信頼・責任の可視化

今回の「DBJ Green Building認証(オフィスビル版)」取得は、第三者による認証や評価を通じて「見える化」されることによって、オフィスで働く人々の快適性や安全性を高めることにつながっています。また、テナント企業の皆様のESG戦略やブランド価値の向上にも寄与すると同時に、社会的な信頼や責任への姿勢を示すことに貢献しています。
オフィスは「働くだけの場所」から「企業価値を高める場所」へ
DBJの調査によれば、こうした環境評価認証を取得したオフィスビルは、認証の非取得物件に比べて、テナントの募集期間が約14.7%も短縮される傾向が示唆されています。
近年、多くの企業が脱炭素化やサステナビリティ指標達成のために「ESG・従業員の健康・生産性・資産価値」の観点から環境評価認証を受けたオフィスを優先的に確保しようとする動きが強まっています。

鉃鋼ビルは再生可能エネルギー由来電力を100%使用しています。
企業の環境に対する配慮は「コスト」ではなく「投資」へと変わりつつあり、企業の信頼性やブランド力を高める戦略の一環として、オフィス選びの基準も変化しています。
今回の評価を受け、鉃鋼ビルでは3年後の「DBJ Green Building認証」の継続認証に向けて始動しました。鉃鋼ビルは、環境、社会、そして人に選ばれるオフィスのあり方を、これからも示し続けてまいります。
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