株式会社鉃鋼ビルディングは、「付加価値向上」の一環として、コミュニティイベント・プロジェクトを設置し、取り組みを続けています。
2024年9月と10月を「SDGs Month」と位置づけ、入居するテナント企業で働く皆様およびご家族を対象とした各種イベントを開催いたしました。
初年度となる今年度は、「SDGs及び社会問題に関する知見を広げること」をテーマとして、ビル内の異なる企業で働く皆様へ、様々な社会課題について考えていただく機会を設けさせていただきました。
今回は、スペシャルゲストとして、オリンピック5大会連続出場という偉業を成し遂げた、パリ五輪カヌースラローム日本代表の羽根田卓也選手をお招きし、18歳で単身スロバキアに渡って培った困難の乗り越え方や物事の上手な捉え方など、ビジネスでも大いに役立つエピソードを披露していただきました。
各イベントの詳細と当日の様子について、イベントを企画・開催したプロジェクトメンバーに取材しました(全3回のうちの3回目。1回目、2回目を読む。)。
2024年10月29日開催
羽根田卓也選手トークセッション
このトークセッションは、羽根田選手のスポンサー企業であるチューリッヒ生命と鉃鋼ビルディングの共同企画による異業種間コラボレーションイベントです。チューリッヒ・インシュアランス・グループのパーパス「Create a brighter future together(明るい未来をともに創造する)」と、鉃鋼ビルディングの経営理念「多様化する社会において、人が活躍する場所の環境価値を創造し、社会に貢献する」が一致したことから、このイベントは生まれました。
イベントの準備と実施
イベントの準備は、チューリッヒ生命のご担当者と約半年間の打ち合わせを経て進められました。打ち合わせは隔週で行われ、細部にわたる計画が練られました。
羽根田選手のカヌー競技での活躍はもちろんのこと、トークが軽妙でありながら、カヌー競技に限らず含蓄ある内容をお話されていることはテレビ番組のインタビューなどから知られていますが、チューリッヒ生命のイベントでメンタルウェルビーイング(心の健康を保つこと)について、数多く講演されていたことから、今回のトークセッションでは、緊張への対応や、物事の上手な捉え方など、現代社会を生き抜くビジネスパーソンにも役立つエピソードを交えてお話しいただくことをご依頼しました。
トークセッションの開始時間が18時30分と少し遅い時間となるため、当日は来場者の方に軽食として、当ビル3階にあるニューヨーク発のデザートレストラン「サラベス」のサンドウィッチをご用意しました(こちらが好評でイベント終了後にお店に立ち寄られ、サンドウィッチをお買い求めになられる方もいらしたそうです)。
ご参加いただいた皆さまに、さらにご満足していただけるよう、羽根田選手のサインが入った五輪グッズのプレゼントを用意しました。日本代表オフィシャルTシャツ、パリ五輪公式Tシャツとキャップの3種類を3つずつ、私どもで用意したところ、チューリッヒ生命からは羽根田選手の著書『Voda 水の声』3冊をご提供いただきました。合計で12名という高確率で当選することになり、羽根田選手のファンには垂涎の的となる抽選会となりました。
トークセッションの内容
今回のイベントは、鉃鋼ビルディングのテナント企業にお勤めの皆さまに加え、一般公募の参加者を含む94名をお招きし、対面形式で実施されました。
トークセッションは羽根田卓也選手の挨拶から始まりました。パリ五輪での経験や応援に対する感謝の言葉を述べられ、参加者から大きな拍手が送られました。続いて、パリ五輪の様子について、羽根田選手本人が撮影した写真を交えた紹介がありました。
パリ五輪の開会式がセーヌ川で行われたことや、選手村での生活、他国選手とのピンバッジ交換による交流、話題となった選手村の食事などについて詳しくご紹介いただきました。また、フランス人の応援の素晴らしさについても触れ、自国の選手や卓越したパフォーマンスを発揮した選手だけでなく、十分な結果を出せなかった選手に対しても惜しみなくエールを送る姿勢に感銘を受けたとお話しされました。
カヌー競技への取り組み
話題はカヌー競技に移り、羽根田選手のこれまでのオリンピックでの経験をお話しくださいました。初出場の2004年の北京五輪では出場することで精一杯で周りが見えず、自分のパフォーマンスも発揮できなかったことや、出場回数を重ねるうちにオリンピックというものを理解し、自分が落ち着いて集中できる環境「コンフォートゾーン」を作り上げることができるようになったことなどが語られました。
また、2016年のリオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得の際は、実は試合前に風邪をひいていたことなどの驚きのエピソードが披露されました。
海外での競技生活
羽根田選手は高校卒業後の18歳からカヌー強豪国のスロバキアでトレーニングを積んでこられました。スロバキアでの生活やトレーニング方法についても語られ、日本と異なるアプローチが紹介されました。日本では一年中同じトレーニングを続けるのに対し、スロバキアではオフの時間を大切にし、カヌーから離れてリフレッシュすることが推奨されているとのことでした。
これには、冬にスキーなどの異なる運動を取り入れることでカヌーで使う筋肉や関節を休め、他の部位の能力を高める役割もあるそうです。また、同じ練習ばかり続けていると体やメンタルに負担がかかるため、リスクヘッジとしてオフの時間を大切にすることが重要であることを学んだと語られました。
このほかに、「スロバキア人が視点を変えて考えることが上手だ」と感じられたそうです。例えば、羽根田選手がリオデジャネイロ五輪で風邪をひいた経験についても、日本人は自己責任を重視しがちですが、スロバキア人は「風邪をひくことは誰にでもある」「スポーツは思い通りにならないこともある」といった柔軟な考え方を持っているとのことです。このように、視点を変えて受け止めることの大切さを強調されていました。
最後に、充実した人生を送るためのアドバイスがあり、トークセッションは終了しました。
質疑応答の後、プレゼント抽選会が行われました。入場の際にお渡しした番号札が抽選券です。透明な箱に入った抽選箱から羽根田選手が一枚ずつ選んでいきます。番号が読み上げられた方は壇上に上がってもらい、羽根田選手よりプレゼントが直接手渡されました。当選された12名の方はお一人ずつ記念撮影をされていました。
ご参加いただいた方からは、
「羽根田さんの飾らないトークが大好きです。スポーツ選手としての心得・考え方を知ることができ、とても有意義なイベントでした」
「視点を変える重要性を一貫してお話されていたことが印象的でした」
「ある程度流れに身を任せて過ごすことも大事とおっしゃっていて、すごく肩の力が抜けました」
といった感想をいただきました。
今回のイベントは、異業種間のコラボレーションが生み出す新たな価値を参加者のみなさまに提供するものとなりました。羽根田選手の経験や考え方は、多くの人にとって励みとなり、明るい未来を創造するためのヒントを与えてくれました。今後もこのようなイベントを企画し、多くの方にポジティブな影響を与えていければと考えています。