鉃鋼ビルディングは2020年に「SDGsプロジェクト」をスタートしました。その背景には鉃鋼ビルディングが大切にしてきた理念があります。SDGsに対する思いやこれまでの活動を、メンバー2人が振り返りました。
増岡裕隆(写真左)
株式会社鉃鋼ビルディング 取締役
佐々木浩(写真右)
株式会社鉃鋼ビルディング 経営企画部 部長
鉃鋼ビルディングとSDGs
当社はこれまで、ご利用いただくすべての方々にとって、より快適で安全な環境づくりを行ってまいりました。2019年には「多様化する社会において、人が活躍する場所の環境価値を創造し、社会に貢献する。」という経営理念と「誰もが輝きだす場所へ。」というコーポレートスローガンを定めました。
2015年竣工の現在のビル建築設計の段階から、環境負荷軽減のためのさまざまな技術の採用をはじめ、あらゆる災害に備えた事業継続の確保、最新設備・機器への更新などの整備に努めています。これまでの歴史に培われた技術と知見を礎に、より良い環境の創造に取り組み、入居テナント様のビジネス活動の支援、利用者の皆さまの利便性向上のための企業活動を展開しています。
そして、多様で持続可能な環境が求められる現在、私たちはSDGsに定められたゴールに向かってSDGsプロジェクトを立ち上げました。
プラネタリーバウンダリー(地球の限界)という言葉が注目されていますが、地球環境は回復可能な限界を超えてしまうことが懸念されています。もし今、アクションを起こさなければ地球や社会が持続できなくなります。それは人ごとではなく、私たち一人ひとりが当事者として考えなければなりません。また、SDGsが2030 年に向けて描くのは、「誰もが自分らしく、よく生きられる世界」だととらえ、コーポレートスローガンに掲げている私たちの目指す姿とも重なり合うと気づいたのです。
一方、経済界でもSDGsは大きなテーマとなっており、当社もSDGsに取り組まなければ、鉃鋼ビルディングを入居先として選んでいただけなくなる可能性もあるという危機感を抱いていました。SDGsに取り組むことは、私たちの使命であり、事業の継続に欠かせないことでもあるのです。
プロジェクトの導入が決まると、まず、社内でSDGs勉強会を開催しました。SDGsを推進するためには、社員全員の理解や共感が必要だったためです。勉強会ではSDGsの基本知識のほか、「なぜ当社がSDGsに取り組むのか」ということを掘り下げて議論しました。
そして2020年7月、社内横断的にメンバーが集まり、いよいよプロジェクトがスタートしました。
目指した先がSDGsとリンクした
プロジェクトチームは、今後の計画を立てるにあたって、まず当社が行ってきた過去の取り組みを洗い出しました。全社的な活動のほか、部署単位で行ってきた活動も集めて整理しました。すると、これまで当社は持続可能な社会に向けてさまざまな施策を実施していたということを改めて認識しました。
「SDGs」という言葉が生まれたのは2015年9月の国連サミットのときです。その年の10月に現在の鉃鋼ビルディングは、建て替え工事が完了し、竣工しました。当時は「SDGs」という言葉は意識していませんでしたが、考えられる限り環境や持続可能性などに配慮した技術や設備を導入していました。また、節電や省エネだけにフォーカスするのではなく、そこにいる「人」にとっても快適な環境を目指していたのです。
当社の活動リストを見たプロジェクトメンバーの誰もが「私たちがやってきたことはSDGsだ」と感じました。「SDGs」という言葉が普及する前から、私たちは「SDGs的」な活動に取り組んでいたのです。
「環境」と「人」に配慮した鉃鋼ビルディングの取り組み
2011年に開始した建て替え工事の設計段階から構想し、実際に取り入れた施設・設備を、いくつかご紹介します。
鉃鋼ビルディングの窓は、断熱性が高いLow-E複層ガラスと太陽光追尾型自動ブラインドとの組み合わせで、快適性や空調の効率を向上しています。また、外気を取り込む自然換気システムを、人と環境にやさしい装置として採用しています。
大規模な複合ビルでは照明にかかる電力も非常に大きくなります。当ビルでは全館で高効率LED照明を採用し、大幅な節電に成功しました。LEDはセンサーによる照明調光自動制御と併せて、さらに省エネと快適性を向上しています。
また、大規模複合ビルの空調設備は冷水を使います。当ビルでは夏季は一般的に用いられる低温冷水だけでなく高温冷水も併用することで、熱源機器のエネルギー利用の高効率化を図っています。冬季は冷たい外気を利用することで高温冷水を作り、使用しています。これらはCO2排出の抑制につながる省エネで自然にやさしいシステムとなります。
鉃鋼ビルディングでは、WEBを利用した、テナント様自身で時間外空調運転・温度設定や、消費エネルギーの「見える化」を可能としたシステムを導入し、省エネに向けた取り組みにつなげています。
こうした省エネに貢献する設備やシステムの導入に加え、さらに一歩進んだ取り組みとして、SDGsプロジェクト開始後の2021年1月には大規模複合ビルでは日本で初めて(当社調べ)、ビルの全電力を再生可能エネルギー由来へと切り替えました。
ビル建て替え時には防災機能も強化しました。地下の備蓄倉庫には万一の災害に備えて、災害発生時2,000人を想定した飲食料品を常時備蓄しています。食料品は定期的な入れ替えのタイミングでフードバンク活動団体に寄付し、食品ロス削減にもつなげています。
さらに、多様性やジェンダー平等などにも取り組んできました。「誰でもトイレ」を全フロアに設置していますが、南館地下1階と本館1階の「誰でもトイレ」にはレインボーマークを表示しています。また、本館1階には授乳室を設置し、女性の社会活動を応援しています。
社員からの提案も続々。SDGs活動はこれからも続きます
このように、当社は以前から「SDGs的」な取り組みをしてきました。そしてプロジェクトの発足により社員の意識がさらに高まりました。
今、SDGsプロジェクトには、社内からさまざまなアイデアや提案が寄せられています。そのうちのいくつかは準備を進めています。活動状況はこのサイトでリポートしていく予定です。
これからも、理念の実現のため、そして社会に貢献できる企業となるため、当社はSDGsに着実に取り組んでいきます。